自筆証書遺言は、遺言者本人が遺言の内容を手書きで作成し、署名と日付を記載することで法的効力を持つ遺言書です。以下に、自筆証書遺言を作成する際の注意点とメリットについて説明します。
注意点
- 自書による作成: 全ての内容を遺言者本人が手書きで記す必要があります。パソコンやタイプライターで作成したものは無効となります。
- 日付の記載: 正確な日付を記入する必要があります。「令和〇年〇月〇日」と特定の年月日を書き込む必要があります。
- 署名: 自身の意思であることを示すため、遺言者本人の署名が必須です。できる限り本名(戸籍上の氏名)を記載すべきということになります。
- 押印: 民法968条には自筆証書遺言の要件が規定されており、押印が求められているため、印鑑を押すことが推奨されます。
- 遺言内容の明確化: 各受益者(財産を受け取る人)に対する財産の分配を明確に記述し、不明瞭な表現を避けることが重要です。
- 法定要求事項の確認: 法律に定められた要件を満たしていないと無効になる可能性があります。例えば、未成年者や精神的に不安定な状態の人が作成した遺言は、法的に認められづらい場合があります。
- 保管方法: 紛失や改ざんを防ぐため、信頼できる場所に保管します。令和2年7月10日から自筆証書遺言書の保管制度がスタートしました。この制度を利用して法務局に預ける方法もあります。
メリット
- 手軽さ: 自筆証書遺言は、ローコストであり、かつ簡単に作成できます。公証人を介さず、自分のペースで何度でも修正できる点が利点です。
- プライバシーの保護: 公証役場を通さないため、内容を秘密にしておくことができます。遺言者のみが知っている内容であるため、個人的な事情を配慮した記述が可能です。
- 書き直しの柔軟さ: 新しい遺言を書くことで、以前の自筆証書遺言を撤回できます。このように柔軟に内容を変更できるため、状況に応じて遺言内容を更新しやすいです。
- 早期作成と修正可能性: 特に病気などの理由で急いで遺言を作成する必要がある場合に、自筆証書遺言は簡易に書き始められます。
まとめ
自筆証書遺言を作成することは、費用対効果やプライバシー保護の面で非常にメリットがありますが、法的に有効とするための要件をしっかりと理解し遵守することが極めて重要です。特に誤った内容や記述漏れがないように注意を払い、場合によっては行政書士などの専門家の法的助言を得ることを考慮すべきです。